競走馬の一生

競馬の基礎知識

競走馬の一生とは?誕生から引退までの流れをわかりやすく解説

競走馬は、どこで生まれ、いつ育てられ、いつデビューして、どのように引退を迎えるのか。この記事では、サラブレッドの誕生から中央競馬(JRA)でのデビュー、競走生活、中央競馬からの引退(競走馬登録の抹消と退厩)までの流れを、JRA・JAIRS(公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナル)の公式情報で確認できた範囲でまとめます。

この記事で分かること

  • 競走馬の一生の大まかな流れ(生産・育成・競走)
  • 生まれてから競走馬になるまでに必要な登録(血統登録・馬名登録・競走馬登録)
  • 育成期間に何をするのか(馴致・騎乗馴致)
  • デビュー戦(新馬戦)と、その後のクラス分けの仕組み
  • 中央競馬から引退するとき(競走馬登録の抹消)に何が起きるか
  • 確認できなかったこと

結論

  • JRAの馬主向けFAQは、競走馬のサイクルを次の流れで説明している。サラブレッドは毎年冬から春に生まれ、馬主に買われたあと牧場で育成調教を受け、美浦か栗東のトレーニング・センターに入厩する。2歳の6月から新馬競走が組まれ、競走に出たのち、やがて中央競馬を引退する。
  • JRAの競馬用語辞典は、競走馬のサイクルを大きく生産・育成・競走の3つのステージに分けている。
  • レースに出るには、JAIRSでの血統登録・馬名登録のあと、競走馬登録(中央競馬ならJRA)を受ける必要がある。
  • デビュー戦の新馬戦は2歳の6月ごろに始まる。勝てば上のクラスへ、勝てなければ未勝利戦に進む。その後は、基本的に勝つごとに上のクラスへ上がる仕組み。
  • 中央競馬の競走馬登録を抹消した馬は、JRAの施設から退厩する。行き先には地方競馬への転出、繁殖、乗馬への転用などがあり、抹消後に地方競馬で走り続ける馬もいる。

競走馬の一生の全体像

競走馬の一生の流れは、次の表のとおりです。

段階主な時期内容
誕生冬から春サラブレッドが生まれる(JRA FAQ)
初期育成〜中期育成誕生〜騎乗馴致の前まで離乳までを初期育成、騎乗馴致の前までを中期育成と区分する(JRA競馬用語辞典)
血統登録・馬名登録内国産馬の血統登録証明書は、おおむね当歳の12月ごろに発行証明書の発行後に馬名登録の申込みができる(JAIRS)
後期育成・騎乗馴致1歳の秋ごろから人を乗せることに慣らす「騎乗馴致」が始まる(JRA日高育成牧場「馬の資料室」)
競走馬登録・入厩各馬の調教の進み具合によるJRAの競走馬登録を受け、トレーニング・センターに入厩する。早期特例登録なら申請は1歳9月〜2歳2月、入厩は1歳11月以降(JRA FAQ)
デビュー2歳の6月ごろから新馬戦(メイクデビュー)が組まれる(JRA)
競走生活デビュー後基本的に、勝つごとにクラスが上がる(JRA)
中央競馬からの引退馬ごとに異なる競走馬登録を抹消した馬はJRAの施設から退厩する。行き先は地方競馬への転出、繁殖、乗馬への転用など(JRA FAQ)

誕生と馬の年齢の数え方

JRAの馬主向けFAQによると、サラブレッドは毎年冬から春に誕生します。

馬の年齢(馬齢)は、2001年度から数え年ではなく満年齢になりました。JRAの競馬用語辞典によると、生まれた年を0歳と数え、その馬が生まれた年の1月1日から年齢を起算します。

この決まりを当てはめると、たとえば2026年の春に生まれた馬は、2026年中は0歳で、2027年1月1日に1歳になります。2歳になるのは2028年1月1日で、この年の6月ごろから2歳馬の新馬戦が始まります。

妊娠期間や繁殖牝馬・種牡馬の仕組みは、当ブログの「種牡馬・繁殖牝馬とは?2つの違いと繁殖入りまでの流れをわかりやすく解説」で扱っています。

血統登録と馬名登録

馬が競走に出られるようになるまでには、いくつかの登録があります。まず、JAIRSが行う登録です。

JAIRSの説明では、登録は次の2つに分かれます。

  • 血統登録:血統および個体識別を明らかにする登録
  • 繁殖登録:繁殖に供する馬の繁殖成績を明らかにする登録

競走馬になる馬に関係するのは、このうち血統登録です。JAIRSによると、内国産馬の血統登録証明書は、おおむね当歳の12月ごろに発行されます。馬名登録の申込みは、血統登録証明書の発行後にできるようになります。

馬名の審査と登録もJAIRSが行います。JRAのFAQによると、馬名登録は、馬が美浦または栗東トレーニング・センターにはじめて入厩する前までに済ませておく必要があります。また、馬名登録が終わると申込者に「馬名登録通知書」が届き、これは競走馬登録のときに必要になります。

なお、馬名の変更については、JAIRSは、JRAまたはNARの競走馬の登録を受けるまでは変更の回数に制限がないとしています。一度競走馬登録された馬名は、中央・地方・外国のいずれの競走にも出走していない場合に限り、1回だけ変更できます(JRA FAQ)。

購入と育成

JRAのFAQによると、サラブレッドは馬主に買われたあと、牧場での育成調教を経て入厩するという流れをたどります。売買の方法には、公設のセリ市場で行われる市場取引と、生産者と馬主の交渉で値段が決まる庭先取引があります。セリ市場は例年4月から10月ごろにかけて北海道・青森・千葉・九州で開かれ、当歳馬・1歳馬・2歳馬・繁殖馬などのセリが行われます。

競走馬の育成は、JRAの競馬用語辞典で次のように区分しています。

  • 初期育成:生まれてから離乳まで
  • 中期育成:騎乗馴致の前まで
  • 後期育成:騎乗馴致から入厩まで

同じ辞典では、このうち後期育成を専門に行う牧場を「育成牧場」と呼んでいます。JRAのFAQによると、育成施設は北海道・東北・栃木・千葉・南九州などの馬産地や、美浦・栗東の両トレーニング・センターの周辺にあります。1歳の秋を過ぎた若い馬が競走馬になるための馴致や訓練に使う厩舎・放牧地・調教馬場などがそろっており、育成を専門とする施設だけでなく、生産者が経営する施設もあります。

騎乗馴致(ブレーキング)

JRA日高育成牧場のブログ「馬の資料室」に掲載された記事「1歳馬の騎乗馴致 -その①-」は、サラブレッドが人に乗られることに慣れるための騎乗馴致を「ブレーキング」と呼び、一般に1歳の秋(9〜11月)に始めると述べています。

同じ記事は、馴致を広い意味では「競走馬としてデビューするために、必要となる数多くの物事に対する教育」ととらえられるとしています。人を乗せて走ることだけでなく、手入れ、トレーニング、輸送、装蹄、ゲートといった場面を人と一緒に落ち着いてこなせるようになってはじめて、デビューが可能になる、という考え方です。

JRA公式サイトの日高育成牧場の紹介ページによると、同牧場で育てるJRA育成馬の騎乗馴致は、9月から順次始まって10月まで続きます。育成の内容は牧場によって差があり、JRAのFAQは、放牧・飼養管理・ハミ付けや鞍付けなどの初期馴致から騎乗調教までと幅があると伝えています。

育成にかかる預託料は、育成の内容や施設によって異なります(JRA FAQ)。

競走馬登録とトレーニング・センターへの入厩

JRAの競走に出るには、競走馬として登録を受ける必要があります。JRAのFAQによると、競走馬登録の流れは次のとおりです。

  1. 預託先の調教師を通じて、美浦または栗東トレーニング・センターに申請書を出す。
  2. 申請書には、JAIRS発行の馬名登録通知書のほか、所有権を確かめるための書類(馬所有念書、印鑑登録証明書、馬匹売買契約書の写し、血統登録証明書など)を付ける。
  3. 原則として、トレーニング・センターに入厩して馬体検査を受ける。

例外として「早期特例登録制度」(2016年に導入)があります。1歳9月から2歳2月までに申請する場合に限り、入厩と馬体検査をせずに競走馬登録ができる制度です。この制度で登録した馬も、トレーニング・センターに入厩できるのは1歳11月以降で、はじめて入厩するときに馬体検査を受けます。

馬主は、調教師と預託契約を結ぶことで、馬を調教師が管理する厩舎に入厩させます。入厩の時期は、各馬の調教の進み具合によって異なります(JRA FAQ)。

入厩から出走までの決まり

JRAのFAQによると、入厩から出走までには次の決まりがあります。

  • JRAの施設の外からJRAが管理する施設に入厩するときは、必ず入厩検疫を受ける。
  • 出走するには、JRAが管理する厩舎に一定期間続けて入厩している必要がある。その競走馬登録のあとに中央競馬・地方競馬指定交流競走・外国の競走に出走したことのある馬(既走馬)は10日間、それ以外の馬は15日間。
  • はじめて中央競馬に出走する馬は、15日以上JRAの施設内で調教され、かつ発走審査に合格する必要がある。

デビュー戦(新馬戦)

JRAの競馬用語辞典によると、新馬戦は競走馬のデビュー戦で、2歳の6月ごろに始まり、3歳の2月ごろまで行われています。これは辞典の説明で、実際の日程はJRAが年度ごとに定める競馬番組で決まります。2008年6月からは「メイクデビュー○○」(○○は競馬場名)という愛称がついています。また、2003年6月以降は、すでに出走したことのある馬は新馬競走に出られなくなり、新馬競走は初出走馬だけの競走になりました。

競走生活とクラス分け

新馬戦のあと

JRAの競馬用語辞典によると、新馬戦に勝った馬は1勝クラスに進み、勝てなかった馬は未勝利戦に出走します。ただし、2歳戦のはじめのうちは1勝クラスのレースがまだ組まれていません(次の節で説明します)。未勝利とは、出走して1着になったことがなく、かつ重賞競走で2着になったこともない馬のことです。未勝利戦には、まだ出走したことのない馬も出られます。

勝つごとにクラスが上がる

JRAの「競馬のルール」によると、レースのクラスは上から GⅠ、GⅡ、GⅢ、リステッド、オープン特別、3勝クラス、2勝クラス、1勝クラス、新馬・未勝利です。クラス(条件)は馬の年齢と収得賞金の額で決まり、基本的には1つ勝つたびに上のクラスへ進みます。重賞では2着でも収得賞金が加算され、昇級することがあります。

2歳戦については、同じページに次の説明があります。2歳戦のはじめのうちは、新馬とオープンのレースしか組まれません。勝ち上がる馬が増えてくると、クラスが細かく分かれていきます。1勝クラスが分かれるのは2歳の9月ごろからで、2勝クラスは、年上の馬と一緒に走る「3歳以上」の条件のレースから分かれていきます。

また、JRAのFAQによると、平地競走では春は3歳馬と4歳以上馬、夏以降は2歳馬と3歳以上馬に分けて競走が組まれます。

出走に関する制限の例

競走を続けるうえで、出走に制限がかかる場合があります。JRAのFAQにある例を一つ挙げると、3歳以上の未勝利馬が、2019年1月1日以降に出走した中央競馬の平地競走で3回続けて8着以内に入れなかった場合は、3回目の競走の翌日から数えて2か月間、平地競走に出走できません。ただし、未出走馬として出走した競走や、競走中止になった競走などは回数に含みません。このほかにも出走できない競走の条件があり、詳細は各開催の競馬番組で定められています(JRA FAQ)。

地方競馬との交流競走にも出走できる

JRAのFAQによると、中央競馬に登録のある馬は、地方競馬との交流競走に出走できます。同じFAQには、2025年は12主催者で、ダート交流重賞競走46競走を含む合計169競走が行われたと書かれています。

中央競馬からの引退と競走馬登録の抹消

JRAの馬主向けFAQは、競走馬のサイクルの最後を「やがて中央競馬から引退」する段階として説明し、その後は競走成績や血統などによって、繁殖、地方競馬、乗馬などに使われるのが一般的だとしています。

手続きの面では、JRAのFAQに、競走馬登録を抹消した馬はJRAの施設から退厩する、と書かれています。抹消後の行き先は馬主と調教師が話し合って決めるもので、地方競馬への転出のほか、繁殖馬になる場合や乗馬に転用される場合などがあります。

このように、中央競馬の登録を抹消したあと、地方競馬に移って走り続ける馬もいます。登録抹消がそのまま競走生活の終わりとは限りません。なお、「登録抹消=引退」と定めた記述は、JRAの公式ページには見当たりません。

引退の時期や理由は、馬ごとに異なります。

引退後の進路や、引退馬を支える団体・仕組みは、当ブログの「引退した競走馬はどうなる?主な進路と支援の仕組みを一通り解説」で扱っています。

確認できなかったこと

競走馬として走る期間の平均や、引退時の年齢を示す公式データは見当たりません。

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まとめ

  • サラブレッドは冬から春に生まれる。馬齢は生まれた年を0歳とし、1月1日を起点に数える。
  • 競走馬のサイクルは、生産・育成・競走の3つのステージに分けられる。
  • 競走に出るには、JAIRSの血統登録・馬名登録のあと、JRAの競走馬登録を受ける。
  • 1歳の秋ごろから騎乗馴致が始まり、2歳の6月ごろから新馬戦が組まれる。
  • 新馬・未勝利のあとは、基本的に勝つごとに1勝クラス、2勝クラス、3勝クラス、オープンと進む。
  • 中央競馬の競走馬登録を抹消した馬はJRAの施設から退厩する。行き先には地方競馬への転出、繁殖、乗馬への転用などがある。

制度や日程は変更されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

主な情報源: JRA公式サイト(馬主向けFAQ 1.生産・2.競走馬の売買・3.育成・4.入厩(調教)・5.競走(出走)・7.競走馬登録の抹消、競馬用語辞典「育成牧場」「馬齢」「新馬戦」「未勝利」、競馬のルール「レースのクラス分け」、日高育成牧場の紹介ページ、日高育成牧場のブログ「馬の資料室」、2026年度競馬番組等のお知らせ)、JAIRS公式サイト(登録審査の概要、馬名登録の概要について)

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