斤量(負担重量)の決め方は?定量・別定・馬齢・ハンデの違いを解説

競馬の基礎知識

競馬の「斤量」は、レースに出走する馬が背負う負担重量のことです。決め方は馬齢重量・別定・定量・ハンデキャップの4種類で、重さを決める基準がそれぞれ違います。年齢と性別だけで決まるのか、これまでの賞金や勝利数も加味するのか、あるいはJRAのハンデキャップ作成委員が馬ごとに決めるのかが、4つの決め方の違いです。

結論

  • 斤量は負担重量の別名です。JRAの競馬のルールによると、負担重量は騎手と鞍などを合わせた総重量を指します。
  • 競馬施行規程第71条は、負担重量を、馬の年齢によるもの、ハンデキャップによるもの、年齢・性・収得賞金の額・勝利度数などの条件で算出するものの3種類に分けています。JRAの競馬のルールが挙げるのは馬齢重量・別定・定量・ハンデキャップの4つで、定量は別定のなかの一つです。
  • 馬齢重量は、2歳戦と3歳戦のうち同一年齢の馬だけが出走するレースで使います。平地競走の3歳なら、牡馬とせん馬が57kg、牝馬が55kgです。
  • 別定は、レースごとの基本となる重量に、収得賞金や勝利度数などによる増減を加える方法です。
  • 定量は、別定のうち賞金に関係なく年齢や性別で重さを決める方法で、有馬記念などが当たります。JRAによると、GⅠは定量か馬齢重量で行われます。
  • ハンデキャップは、JRAのハンデキャップ作成委員が出走馬ごとに重量を決める方法です。
  • 女性騎手、見習騎手、障害競走新規騎乗騎手が特別競走とハンデキャップ競走以外のレースに騎乗するときは、決められた重量が負担重量から差し引かれます。

負担重量(斤量)とは

JRAの競馬のルールによると、レースの出走馬は、決められた負担重量(騎手、鞍などの総重量)を背負って出走しなければなりません。

JRAの競馬用語辞典によると、「斤量」は「負担重量のこと」です。現在の単位はキログラムですが、初期の競馬では80斤、90斤のように、1斤を0.6kgとする斤が単位でした。その名残で、いまも負担重量を斤量と呼びます。

重さの量り方

レース前の検量(前検量)では、騎手と装具(むちと帽を除く)、鞍(付属具などを含む)の重さをまとめて量ります(競馬施行規程第98条)。このとき騎手は、公表された負担重量に、保護ベストの標準的な重量に相当する分として1kgを加えた「加算重量」で前検量を受けます(第99条)。

3種類か、4種類か

競馬施行規程第71条の分類は、次の3種類です。

  1. 馬の年齢によるもの
  2. ハンデキャップにより定めるもの
  3. 馬の年齢、性、収得賞金の額、勝利度数その他の競馬番組で定める条件により算出するもの

2026年度の競馬番組の一般事項は、3つ目を「別定重量」と呼び、レースの条件には「別定」と記載するとしています。ただし別定重量のうち、馬の年齢または性によって決めるものは、特に「定量」と記載します。JRAの競馬のルールでは、馬齢重量・別定・定量・ハンデキャップの4つが並んでいます。

同じ一般事項によると、競馬番組に負担重量の指定が特にないレースは、馬齢重量になります。

馬齢重量:年齢と性別で決まる

JRAの競馬用語辞典は、馬齢重量を「負担重量を馬の年齢によって定める方法」とし、2歳と3歳の、同一年齢の馬だけのレースに用いると説明しています。平地競走の馬齢重量は、競馬施行規程第72条の表で次のように決まっています。

区分2歳(9月まで)2歳(10月から12月まで)3歳
牡馬・せん馬55kg56kg57kg
牝馬55kg55kg55kg

牡馬とせん馬は、2歳の10月から1kg、3歳になるとさらに1kg重くなります。牝馬は2歳から3歳まで55kgのままです。

2025年の東京優駿(日本ダービー)は馬齢重量のレースで、JRAのレース結果の条件欄には「馬齢」とあります。JRAが公表した条件は「3歳 牡牝 57kg(牝馬2kg減)」でした。牡馬は57kg、牝馬は2kg減の55kgという意味です。この年に出走した18頭はすべて牡馬で、全頭が57kgでした。

馬の年齢の数え方

競馬施行規程第83条第3項によると、馬の年齢は、その馬が生まれた年の1月1日から数えます。JRAの競馬用語辞典は、馬齢が2001年度から、国際化の一環として数え年から満年齢に変わったと伝えています。この変更の経緯は「馬齢の数え方はいつ変わった?「数え年」から「満年齢」への変更を解説」で詳しく取り上げています。

別定:基本の重量に賞金や勝利数で増減する

JRAの競馬のルールによると、別定は、そのレースごとに負担重量を決める基準が設けられているレースです。基本となる重量に、収得賞金や勝利度数などによって増減が加わります。競馬用語辞典の「別定重量」の項によると、別定重量は、基礎重量に、過去の収得賞金額、勝利度数、特定の競走の勝利などで重量を加える方法で、重賞競走、特別競走、条件競走などで使われています。

JRAの競馬のルールが示す基本の重量は、原則として次のとおりです。

  • 2歳馬・3歳馬のレース:馬齢重量
  • 3歳以上、4歳以上など、異なる年齢の馬が出走するレース:5歳以上の牡馬・せん馬が、平地競走58kg、障害競走60kg(いずれも牝馬は2kg減)

オープンクラスなど一部のレースは、基本となる重量が個別に設定されます。2026年度の競馬番組では、3歳以上・4歳以上のレースのうち、平地のGⅡ競走(札幌記念と阪神カップを除く)、GⅢ競走、重賞以外のオープン競走は58kgに代えて57kg、障害のJ・GⅠ競走は60kgに代えて63kgが基となる重量です。このほか、競馬番組で別に重量を定める場合もあります。

3歳馬と4歳馬には、5歳以上の馬に対する減量が、月ごと・距離ごとに決められています。2026年度の競馬番組の一般事項は、こうした年齢や性の違いによる減量を「アローワンス」と呼んでいます。アローワンスの数値は、競馬施行規程ではなく年度ごとの競馬番組で決まります。2026年度の競馬番組では、牝馬のアローワンスが2kgで、平地競走の3歳馬の減量は次の表のとおりです。

3歳馬の減量(平地競走、2026年度)

単位はkgです。オープン競走以外の平地競走は、カッコ内の数字を適用します。

月〜1,399m1,400〜1,600m1,601〜2,199m2,200m〜
1月7(6)8(7)9(8)10(9)
2月6(5)7(6)8(7)9(8)
3月5(4)6(5)7(6)8(7)
4月4(3)5(4)6(5)7(6)
5月4(3)4(3)5(4)6(5)
6月34(3)4(3)5(4)
7月334(3)4(3)
8月2334(3)
9月2233
10月1223
11月1122
12月1112

距離は、メートル単位の整数で区切っています。JRAの表では、左から順に「1,400m未満」「1,400m以上1,600m以下」「1,600m超2,200m未満」「2,200m以上」と書かれています。

4歳馬の減量(平地競走)は、いずれも1kgで、適用される月は距離によって違います。〜1,399mは減量がなく、1,400〜1,600mは1月、1,601〜2,199mは1月と2月、2,200m〜は1月から3月までです。

障害競走では、3歳馬が1年を通じて2kg、4歳馬が1月から5月まで1kgの減量です。

一般事項によると、別定重量は、競馬番組で特に定めた場合を除き、そのレースの出馬投票締切前日までの競走成績で決まります。収得賞金の額や勝利度数に応じた具体的な増減は、レースごとの条件として競馬番組に載ります。

定量:賞金に関係なく年齢と性別で決まる

定量は、別定のなかの一つの方法です。JRAの競馬用語辞典は、定量を「別定重量のうち、収得賞金に関係なく、馬の年齢または性別により、出走馬の全馬に一定の負担重量を定める方法」と説明し、有馬記念などがこの方法で行われるとしています。JRAの競馬のルールによると、GⅠレースは定量または馬齢重量で行います。GⅠ・GⅡ・GⅢという格付けの仕組みは、「グレード制(G1・G2・G3)とは?格付けの基準と決め方を解説」で紹介しています。

定量の重さは、レースによって違います。2025年の有馬記念と安田記念は、どちらもJRAのレース結果の条件欄に「定量」とあり、JRAが公表した条件は次のとおりでした。

レース条件
2025年 有馬記念3歳以上 3歳56kg 4歳以上58kg(牝馬2kg減)
2025年 安田記念3歳以上 3歳54kg 4歳以上58kg(牝馬2kg減)

同じ有馬記念でも、年によって数字が変わっています。2022年は「3歳55kg 4歳以上57kg(牝馬2kg減)」でしたが、2023年から2025年は「3歳56kg 4歳以上58kg(牝馬2kg減)」です。各レースの負担重量は、競馬施行規程第66条により競馬番組で定められます。実際のレースの重さは、その年の競馬番組の条件で確かめる必要があります。

ハンデキャップ:馬ごとに重さを決める

JRAの競馬のルールによると、ハンデキャップは、出走予定馬の実績や最近の状態などを考慮して、各出走馬に勝つチャンスを与えるよう決められた重量を負担させるレースです。各馬の負担重量を決めるのは、JRAのハンデキャップ作成委員です。競馬施行規程では、ハンデキャップ作成委員は競馬の開催時に置かれる開催執務委員の一つで(第178条)、「ハンデキャップの作成に関する事務」を担います(第183条)。

競馬用語辞典の「ハンデキャップ」の項によると、ハンデキャップ競走で各馬が負担する重量は、ハンデキャッパーが各馬に等しく勝機を与えようと決めるものです。競走成績や最近の調子などを資料にし、馬の能力に応じて重量を増減するといいます。

2026年度の競馬番組の一般事項によると、ハンデキャップ競走に出走するには、中央競馬の平地競走、地方競馬指定交流競走、または理事長が指定する外国の重賞競走に、通算で2回以上出走している必要があります。また、ハンデキャップ競走では騎手の減量制度が適用されません。

「フリーハンデ」との違い

競馬用語辞典によると、「フリーハンデ」はその年度の競走馬を負担重量によって格付けしていたもので、現在はランキングとして発表されています。レースで実際に背負うハンデキャップとは別のものです。

騎手の減量制度

競馬施行規程第74条は、特別競走とハンデキャップ競走のどちらでもないレースに、女性騎手、見習騎手、障害競走新規騎乗騎手が騎乗する場合、競馬番組で定める重量を負担重量から減らすと定めています。

中央競馬の見習騎手は、JRAの騎手免許を受けている騎手のうち、JRA、地方競馬全国協会、外国の競馬機関の騎手免許を受けていた期間が通算5年未満で、平地競走の勝利度数が100回以下(障害競走は20回以下)の騎手です。

減らす重量は、アローワンスと同じく競馬番組で決まります。2026年度の競馬番組の表は次のとおりで、右端の列は出馬表での表記です。

男性騎手の減量(2026年度)

区分平地競走の勝利度数障害競走の勝利度数減ずる重量出馬表の表記
見習騎手30回以下10回以下3kg▲
見習騎手31回以上50回以下11回以上15回以下2kg△
見習騎手51回以上100回以下16回以上20回以下1kg☆
障害競走新規騎乗騎手10回以下3kg▲
障害競走新規騎乗騎手11回以上15回以下2kg△
障害競走新規騎乗騎手16回以上20回以下1kg☆

女性騎手の減量(2026年度)

区分平地競走の勝利度数障害競走の勝利度数減ずる重量出馬表の表記
見習騎手50回以下15回以下4kg★
見習騎手51回以上100回以下16回以上20回以下3kg▲
障害競走新規騎乗騎手15回以下4kg★
障害競走新規騎乗騎手16回以上20回以下3kg▲
見習騎手・障害競走新規騎乗騎手でない騎手2kg◇

最低の負担重量と南半球産馬の減量

どれだけ減量が重なっても、負担重量には下限があります。競馬施行規程第75条によると、平地競走の最低は50kg(競馬番組で指定する競走は49kg)、障害競走の最低は3歳馬が56kg、4歳以上の馬が57kgです。計算した負担重量がこれを下回るときは、下限の重量が負担重量になります。2026年度の競馬番組で、49kgの下限が適用されるのはオープン競走です。

南半球で7月1日から12月31日までの間に生まれた馬が、ハンデキャップ競走を除く平地競走に出走する場合は、決まった負担重量からさらに減量します(競馬施行規程第73条)。2026年度の競馬番組では、対象は2歳から4歳までの馬で、減量幅は距離・年齢・月ごとに1kgから4kgです。

4つの決め方の違い

決め方何で重さが決まるか主な対象
馬齢重量馬の年齢と性別(2歳は時期も)2歳戦・3歳戦のうち、同一年齢の馬だけが出走するレース
別定レースごとの基本となる重量に、収得賞金や勝利度数などで増減重賞競走、特別競走、条件競走など
定量馬の年齢や性別(賞金は関係しない)有馬記念など。GⅠは定量か馬齢重量
ハンデキャップ実績や最近の状態を考慮して、ハンデキャップ作成委員が馬ごとに決めるハンデキャップ競走

確認できなかったこと

  • 別定で収得賞金や勝利度数に応じて何キログラム増減するのか、定量でそれぞれ何キログラムになるのかを、全レースに共通する一覧にまとめた資料は見当たりません。
  • ハンデキャップ作成委員が各馬の重量を算出する具体的な計算方法や基準は、公表されたものが見当たりません。
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