馬主になるには?JRA・地方競馬の馬主登録の要件・流れ・費用を解説

競馬の基礎知識

中央競馬(JRA)のレースに自分の馬を出走させるには、JRAの馬主登録を受ける必要があります。地方競馬に出走させる場合は、地方競馬全国協会(NAR)の馬主登録が別に必要です。登録は申請すれば自動的に認められるものではなく、人物面と経済面の審査があります。

結論

  • JRAの個人馬主は、欠格事由に当たらず、今後も継続的に得られる見込みの所得金額が過去2か年とも2,000万円以上、資産が1億円以上あることが要件です。
  • 3名以上10名以下で登録する組合馬主は、組合員1人あたりの所得要件が1,000万円以上と、個人馬主より低く設定されています。
  • JRAの審査は年3回(4月・7月・11月)で、申請から登録まで概ね4〜5か月かかります。登録時に登録料1万円、登録後に登録免許税9万円を納めます。
  • 地方競馬(NAR)の個人馬主は、直近年の所得が500万円以上という基準です。JRAとは登録の窓口も要件も別です。

馬主とは?登録が必要な理由

競馬法第13条は、日本中央競馬会が行う登録を受けた者でなければ、中央競馬の競走に馬を出走させることができないと定めています。馬を所有しているだけでは足りず、馬主としての登録が前提になります。

地方競馬は、都道府県や指定市町村が主催しています。競馬法第22条が第13条の規定を地方競馬にも準用していて、登録を行うのは地方競馬全国協会です。

JRAの馬主向けページ「競走馬をめぐる人々」によると、登録を受けた馬主は、競走馬を購入し、調教師と預託契約を結んで美浦・栗東のトレーニング・センターに入厩させ、馬名・競走馬・服色を登録していきます。JRAのFAQは、預託契約・競走馬登録・出馬投票をすべて調教師に委任できるとしています。

JRAの馬主登録は個人・組合・法人の3形態

JRAは、馬主登録の形態を個人馬主・組合馬主・法人馬主の3つに分けています。

形態内容
個人馬主個人を馬主として登録する形態。JRAによれば馬主全体の約85%を占める最も一般的な形態で、ほとんどの馬主が個人馬主から始めています
組合馬主3名以上10名以下の組合員がそれぞれ出資し、共同で馬主活動を行う形態。個人馬主より組合員各自に必要な所得要件が低い点が特徴です
法人馬主競馬事業を目的とする法人を登録する形態。代表者が個人馬主としての要件を満たす必要があり、法人の財務内容も審査されます

組合馬主で登録されるのは「組合」であり、個々の組合員が馬主登録を受けるわけではありません。また、同じ人が個人馬主と組合員、あるいは法人馬主の代表者と組合員を兼ねることもできません。個人馬主が法人馬主に登録形態を変えた場合は、個人としての登録が抹消されます。

JRAの馬主登録の要件

JRAの「馬主登録の要件等について」は2025年8月現在の内容です。馬主登録審査基準は1992年7月に設けられてから2025年6月まで改正を重ねており、要件が変わることもあります。申請を考える際は、JRAの最新資料の確認が欠かせません。

個人・組合・法人の主な要件(一般の馬主登録)

個人馬主組合馬主法人馬主
所得過去2か年いずれも2,000万円以上組合員全員が過去2か年いずれも1,000万円以上(軽種馬生産者の組合員は700万円以上)代表者が個人馬主と同じ(2,000万円以上)
資産・財産継続的に保有する資産が1億円以上組合名義の預貯金が1,000万円以上代表者が個人馬主と同じ(1億円以上)。法人は資本金または出資の額が1,000万円以上
人数・出資本人組合員3名以上10名以下。各組合員の出資比率は10%以上50%未満で、代表者は1名代表者は代表権を持つ役員で、資本金または出資の額の50%以上を出資
その他欠格事由に当たらないこと欠格事由に当たらないこと。組合契約がJRAと農林水産省の定める基準に適合すること代表者以外の役員にも欠格事由が適用される。過去2か年の決算など法人の財務内容も審査対象

所得は収入金額ではなく、税法上の所得金額です。一時的な所得と、地方競馬賞金など競馬に関する所得は含まれません。審査では、確定申告書や源泉徴収票の内容を所得証明書と照らし、過去2か年分を見ます。

資産として数えられるのは、本人名義の不動産、預貯金、有価証券(投資信託や債券を含む)で、負債は差し引いて評価されます。保険証券、ゴルフ会員権、海外に所在する不動産、書画骨董は含まれず、JRAのFAQは暗号資産も資産とは見なされないと答えています。

基準に届かない場合

JRAのFAQによると、所得が要件に満たなくても、不足額や資産状況によっては登録できる場合があります。資産が足りない場合も同様で、まず馬主登録課に相談するよう案内しています。

経済面の審査は、調教師に継続的に競走馬を預託できるだけの所得・資産があるかを確認するものです。審査基準は、年間所得2,000万円以上かつ資産1億円以上の人を、預託が困難と認められる人には当たらないものとして扱うと定めています。

組合馬主

組合馬主の「組合」は民法上の組合で、法人格は必要ありません。組合員のなかに、個人馬主、法人馬主の代表者、ほかの組合馬主の組合員がいてはいけません。組合員の出資比率は常に一定でなければならないという制約もあります。

法人馬主とクラブ法人

法人馬主の代表者は、申請法人の代表権を持つ役員で、資本金または出資の額の50%以上を出資している必要があります。JRAのFAQは、代表者が直接50%以上を出資している法人だけが申請でき、代表者が出資する法人Aを通じて間接的に出資する法人Bでは申請できないと答えています。

審査基準は、法人の事業目的に競馬(馬主)に関する項目がない場合や、過去2か年の決算が赤字の場合(設立後間もない法人など把握が難しい場合を除く)を、適格でない基準として挙げています。JRAは、競馬用の法人を新たに設立して申請することも可能としています。

審査基準には、一般の法人馬主とは別に「クラブ法人馬主登録」の章もあります。事業目的に競馬(馬主)と競走用馬投資関連業務(金融商品取引業)の両方の項目があること、募集頭数や競走馬の取得方法・預託先などを記した事業計画と収支見込みによる審査、1対1で対応する愛馬会法人が出資会員の保護に支障をきたさないことなどが挙がっています。出資会員の保護が審査項目になっていることから、会員から出資を募って競走馬を持つクラブ運営の法人を対象にした区分と考えられます。JRAのFAQは、クラブ法人馬主の登録を検討する人に、馬主登録課へ直接問い合わせるよう案内しています。

軽種馬生産者の馬主登録

軽種馬の生産者には、別の基準があります。軽種馬(サラブレッドなど)の品種については、「軽種馬とは?サラブレッドとアラブ・アングロアラブの違いを解説」で説明しています。

個人の軽種馬生産者が馬主登録を受ける場合、要件資料は次の条件を挙げています。

  • 今後も継続的に得られる見込みの所得金額が、過去2か年いずれも1,100万円以上あること(軽種馬生産活動による所得が必要)
  • 経営する牧場が15ha以上(うち自己所有7.5ha以上)であること。北海道以外は5ha以上(うち自己所有2.5ha以上)
  • 自己所有のサラ系繁殖牝馬が6頭以上いること
  • 過去2か年以上の軽種馬生産実績と、生産馬の売却実績があること

FAQの記載に食い違いがある箇所

JRAのFAQ「どのような資格審査が行われるのですか」は、個人馬主向けの金額(所得2,000万円以上・資産1億円以上)を、組合馬主と軽種馬生産者(個人・法人)の項目にも同じ文面で載せています。組合馬主は1,000万円以上、軽種馬生産者の個人馬主は1,100万円以上とする要件資料・審査基準の数字と食い違っています。一方、JRAの「馬主になるには」にある「よくあるお問い合わせ」のページは、組合馬主の所得を要件資料と同じ1,000万円以上としています。金額を確認するときは、要件資料や審査基準の原文に当たるのが確実です。

日本国外に居住する人

JRAは2009年から、日本国外に居住する人の個人馬主登録の申請を受け付けています。欠格事由に当たらないことに加え、海外の競馬統括機関で個人馬主または法人の代表者として登録・免許を受け、主体的に1年以上活動して競走馬を所有・出走させていること、JRAから承認を受けた連絡責任者を日本国内に置くことが必要です。所得と資産の基準は、邦貨換算で国内居住者と同じ2,000万円以上・1億円以上です。日本国外に居住する人の申請には受付締切日がなく、審査にかける準備が整い次第、審査に回されます。

馬主登録を受けられない人(欠格事由)

JRAの競馬施行規程第7条は、次のいずれかに当たる人の登録を拒否すると定めています。申請書や添付書類に重要な虚偽の記載がある場合も同様です。

  • 精神の機能の障害により、馬を適正に出走させるのに必要な認知・判断・意思疎通を適切に行えない人。復権を得ていない破産者
  • 拘禁刑以上の刑に処せられた人
  • 競馬法などの規定に違反して罰金刑に処せられた人
  • 競馬への関与を禁止または停止されている人
  • 暴力的不法行為などを集団的・常習的に行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある人
  • JRAの経営委員会の委員、役員、職員
  • 調教師、騎手、調教助手、騎手候補者、厩務員
  • 刑罰、不正な手段による登録、登録証の不正使用、名義貸しなどを理由に登録を取り消されて、5年を経過していない人
  • 調教師に競走馬を継続的に預託することが困難と認められる人
  • JRAから求められた書類を提出しなかった人、または出頭しなかった人
  • 住民基本台帳に記録されていない人
  • そのほか、競馬の公正を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由のある人

馬主登録審査基準には、これを具体化した基準もあります。主なものは次のとおりです。

  • 20歳未満の人
  • 申請日以前の1年間に、JRAの調教師・騎手・調教助手・騎手候補者・厩務員、またはJRAの役員・職員だった人
  • 地方競馬の調教師・騎手・騎手候補生・厩務員(申請日以前の1年間にそうだった人を含む)
  • ブックメーカーやインターネット賭事業者など、JRAの競馬を賭けの対象とする可能性のある事業の運営者・従事者、またはそうした業者と業務上の関連を有する人
  • 限定した会員に有料で競馬予想情報を提供する事業(会員制競馬予想業)の運営者・従事者、またはそうした業者と業務上の関連を有する人
  • 名義貸しのおそれがあると判断される人
  • 拘禁刑以上の刑に処せられた人と同一戸籍にある、または生計を一にする人で、競馬の公正を害するおそれがあると認められる人
  • 競馬への関与の禁止・停止処分を受けている人、暴力団関係・犯罪関係の基準に当たる人と、同一戸籍にある、または生計を一にする人

申請から登録までの流れ

1. 申請書類を入手する

JRAの「馬主登録申請について」のページに、個人・法人の申請用紙一式と、個人・法人・組合それぞれの申請の手引き(PDF)が載っています。組合馬主と軽種馬生産者(個人・法人)の申請書類は、郵送で受け取ります。

2. 書類を揃えて提出する

受付窓口は、JRA本部の馬主登録課、栗東・美浦のトレーニング・センター、JRAの競馬場(10場)の業務課です。個人馬主の手引き(2025年6月現在の内容)は、次のような書類を求めています。

  • 申請書(写真貼付)と、経歴の概要を記載した書類
  • 世帯全員の住民票、戸籍謄本(全部事項証明書)、本籍地の市区町村が発行する身分証明書
  • 認知・判断・意思疎通を適切に行えない者でないことの証明(医師の診断書、または成年被後見人・被保佐人として登記されていないことの証明書)
  • 直近2か年分の所得税確定申告書の写しと所得証明書
  • 負債の申告書(JRA所定の様式)
  • 固定資産評価証明書、本人名義の預金残高証明書・有価証券所有証明書
  • 経営または勤務するすべての法人の登記簿謄本(履歴事項証明書)と、最新2期分の決算報告書(上場企業を除く)

必要書類は発行日から3か月以内のものを出します。提出書類は原則として返却されません。不足書類や記載漏れがあると、申請を受け付けないことがあります。JRAのFAQは、馬主として馬を調教師に預けられる経済力を詳しく調べるため、所得の継続性を示す確定申告関係や決算関係の書類は省略できないと説明しています。手引きは、申請しても希望に添えない場合があるとも断っています。

3. 調査と審査を受ける

審査は4月・7月・11月の年3回で、受付の締切日は審査の概ね3〜4か月前に設けられます。JRAは参考として、2027年4月に予定する審査の受付締切日を2026年12月3日(木)と示しています。なお、代表者がすでに個人馬主の登録を持っている場合の一般の法人馬主登録は、受付・審査が随時行われます。

JRAのFAQによると、審査は人物面と経済面が中心で、2つの諮問機関の審査結果を踏まえてJRAが登録の可否を最終的に決めます。施行規程が定める馬主登録審査委員会は、理事長の諮問に応じて調査審議する機関で、JRAの役職員、馬主、学識経験者から選ばれた15名以内の委員で構成されます。施行規程は、JRAが必要に応じて申請者に追加書類の提出や出頭を求めることがあるほか、申請者の登録について馬主の団体の意見を求めることがあるとも定めています。

4. 登録と費用

申請時には費用がかかりません。登録が可となった場合、馬主登録証の交付の際に登録料1万円を納めます。登録後には、国税である登録免許税の納付義務が生じます。税額は登録免許税法の別表第一で、馬主の登録1件につき9万円と定められています。

申請から登録までは、概ね4〜5か月かかります。

登録後に守るルール

1年以内に競走馬を所有する

正当な理由がなく、馬主登録を受けた日から1年以内に競走馬登録を受けた馬を所有しないとき、または競走馬登録の馬を所有しなくなってから1年以上が経過したときは、登録が取り消しの対象になります。JRAのFAQによると、馬を購入しただけでは「所有」にならず、馬名登録を行い、調教師を経由して競走馬登録を申請する必要があります。持分は、100%の所有でも10%の共有でもかまいません。

最後に馬を所有してから1年が経過する直前に、JRAから取消しの予告が届きます。同封の猶予願を提出すれば、取消しが2年間猶予されます。

名義貸しの禁止

JRAのFAQは、登録のない第三者に馬主の名義を貸すことを「名義貸し」として厳しく禁じています。登録馬主と登録のない人が共同で馬を所有することも該当します。個人馬主が自分の経営する法人の馬を個人の所有馬として出走させる場合や、その逆の場合も名義貸しとされ、馬主登録や調教師免許の取消しなどの処分の対象になります。

共有のルール

競走馬の共有は、中央競馬に登録された馬主同士に限られ、1頭につき10人まで認められています。共有では代表者を1名決め、出馬表に載る馬主名や服色、賞金の振込先はすべて代表者のものになります。

馬主活動にかかるお金と収入

JRAの「馬主活動に伴う収入・支出」のページが示す数字は次のとおりです。

  • 馬の購入:2025年度のサラブレッド1歳市場(取引2,383頭、税込)は、平均価格が1,477万円、中間価格が616万円、最高価格が4億6,200万円でした。JRAは当歳・1歳・2歳の各市場と、生産者との庭先取引を購入方法として紹介しています。JRAブリーズアップセールには、中央競馬の馬主登録から3年以内の人だけが参加できる「新規馬主限定セッション」があります。
  • 預託料:馬の飼料代や飼育・調教の費用で、競走馬を購入してから発生します。JRAのトレーニング・センターでは馬主と調教師の直接契約で、預託料は厩舎によって異なり、1頭1か月70万円程度とされています。
  • 収入:賞金等には、1着から5着までが対象の本賞、6着から9着まで(重賞競走と平地オープン競走は10着まで)が対象の出走奨励金、全出走馬を対象に競走の区分などに応じて交付される特別出走手当があります。出走奨励金と特別出走手当は、条件によって増減したり交付されなかったりすることがあります。2025年にJRAが馬主に支払った賞金等は約1040億円、JRAで出走した馬は11,923頭で、1頭あたりの年間収入は平均約872万円です。

実際の賞金は競走成績によって大きく変わります。JRAは、1頭平均の年間収入と預託料を並べて、おおよその収支のイメージを示しています。

馬主席は、JRAが各競馬場の馬主協会に貸与して協会が管理しているため、原則として馬主協会に所属していないと使えません。馬主協会はJRAとは別の組織で、10か所の競馬場単位にあり、馬主登録を受けている人の8割以上がいずれかに所属しています。入会審査は各協会が独自に行います。

地方競馬(NAR)の馬主登録との違い

NARの馬主登録は、JRAとは別の制度です。NARのQ&Aは、中央競馬の馬主登録を受けている人でも、地方競馬の競走に馬を出走させるには、別途NARの馬主登録を受ける必要があると説明しています。

一方、JRAに競走馬登録のある馬は、地方競馬との交流競走に出走できます。NARは、中央競馬で競走馬登録を受けている馬を地方競馬の指定交流競走(ダートグレード競走など)に出走させる場合の馬主登録は、通常の申請とは別種の手続きだとしています。JRAの競馬施行規程第15条も、NARの馬主登録を受けた人が中央競馬の指定交流競走に出走させるためにJRAの馬主登録を受ける場合を、その競走に限って効力を持つ特例として定めています。

項目JRA(中央競馬)NAR(地方競馬)
登録を行う機関日本中央競馬会地方競馬全国協会
個人馬主の所得過去2か年いずれも2,000万円以上直近年で500万円以上
個人馬主の資産1億円以上要件に資産額の基準は挙がっていない
組合馬主組合員3〜10名。各組合員の所得1,000万円以上、組合名義の預貯金1,000万円以上、出資比率10%以上50%未満組合員3〜10名。各組合員の所得300万円以上、組合名義の定期預金300万円以上、出資比率10%以上49%以下
法人馬主資本金または出資の額が1,000万円以上。代表者は個人馬主と同じ所得・資産払込済資本金または履行済出資の総額が300万円以上。事業目的に競馬事業を明記。直近2か年の決算が連続して赤字でなく、直近の決算で債務超過でない。代表者の所得は個人馬主の要件を満たす
審査の時期年3回(4月・7月・11月)年5回(3月・5月・7月・10月・12月)
申請から登録まで概ね4〜5か月書類が揃ってから概ね5か月
登録に伴う費用登録料1万円、登録後に登録免許税9万円登録後に登録料1万円
共有登録馬主同士で1頭につき10人まで個人・法人馬主の2人以上20人以下、持分は5%以上95%以下(組合馬主は共有できない)
預託料の目安1頭1か月70万円程度概ね月額15〜50万円
個人馬主の割合(各公式サイトの説明)約85%約9割

NARの個人馬主の所得は、一時的に得たと認められる所得(不動産や株式の売却益、配当、競走馬ファンドの配当金、中央競馬の賞金、雑所得など)や、転職・退職で今後の継続性がない所得を算入できません。自ら経営する会社の直近の決算が赤字または債務超過の場合は、その会社から得た所得も対象外です。

NARの法人馬主は、直近2か年の決算書で経済的要件を審査するため、設立から2か年を経過していない法人は審査を受けられません。ただし、すでに中央競馬で馬主登録のある法人は除かれます。

NARは、申請にあたって預託予定の調教師を決めるよう求めています。申請時に未定でもかまわず、審査が終わって馬主登録審査委員会に上程されるまでに決めるよう依頼しています。決めた調教師に、登録後に必ず預託しなければならないわけではありません。

JRAもNARも、20歳未満の人、ブックメーカーや会員制競馬予想業の関係者、調教師などの厩舎関係者を登録の対象外としています。NARは、中央競馬の厩舎関係者と、その人と同一戸籍または生計を一にする人も同じく扱います。

馬主と引退馬

JRAのFAQによると、競走馬登録を抹消した馬はJRAの施設から退厩し、その後の行き先は「馬主と調教師が話し合ったうえで決められます」。行き先の例として、地方競馬への転出、繁殖馬、乗馬への転用が挙がっています。進路ごとの仕組みは、「引退した競走馬はどうなる?主な進路と支援の仕組みを一通り解説」でまとめています。繁殖入りについては、「種牡馬・繁殖牝馬とは?2つの違いと繁殖入りまでの流れをわかりやすく解説」が参考になります。

JRAは馬主向けのお知らせで、一般財団法人Thoroughbred Aftercare and Welfare(TAW)が中央競馬の馬主を対象に、引退競走馬のセカンドキャリアや養老・余生に関する相談窓口を設けていると案内しています。TAWは宇都宮事業所で、引退競走馬を30日から50日程度、一時的に受け入れる施設も運営しています。

確認できなかったこと

  • 所得・資産が基準に届かない場合に、どこまで不足が認められるかを示すJRAの公開資料は見当たりません。
  • JRAのFAQがいう「2つの諮問機関」のうち、馬主登録審査委員会以外の名称は、公式資料に見当たりません。
  • クラブ法人馬主の登録要件を一般向けに説明するJRAの公式ページは見当たりません。
  • 個人馬主が馬主全体の約85%(JRA)、約9割(NAR)を占めるという数字について、算出時点や馬主の総数を示す記載は、各公式ページに見当たりません。
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