軽種馬とは?サラブレッドとアラブ・アングロアラブの違いを解説

競馬の基礎知識

競馬中継でよく耳にするサラブレッドは、「軽種馬」と呼ばれる馬の品種の一つです。軽種馬にはほかにアラブやアングロアラブなどがあり、かつては中央競馬・地方競馬でアラブ系の競走も行われていました。軽種馬の分類、3品種の違い、アラブ系の競走がなくなった時期、品種別の生産頭数を見ていきます。

この記事で分かること

  • 軽種馬とは何か、現在の5品種の内訳
  • サラブレッド・アラブ・アングロアラブそれぞれの由来と定義
  • かつてあった「準サラ」という品種が廃止された経緯
  • 中央競馬・地方競馬でアラブ系の競走がなくなった時期
  • 2025年の品種別の生産頭数と、2026年の速報値
  • 確認できなかったこと

結論

  • 軽種馬とは、サラブレッド、アラブ、アングロアラブ(アア)など、軽快で競走または乗用に適した馬のことです(JRA競馬用語辞典「軽種」)。
  • 1974年6月1日の品種改訂により、軽種馬はサラブレッド、アラブ、アングロアラブ、サラブレッド系種、アラブ系種の5品種となり、それまであった「準サラ」という品種はなくなりました(JRA競馬用語辞典)。現在のJAIRS登録規程も、この5品種を登録の対象としています。
  • サラブレッドはイギリスで競走馬として作り出された品種で、競走馬としての大まかな定義は「連続8代にわたりサラブレッドが交配された馬」です。アラブはアラビア半島原産の古い品種、アングロアラブはアラブとサラブレッドの交雑種で、フランスで騎兵乗馬用に造成されました(いずれもJRA競馬用語辞典)。
  • 中央競馬では1995年12月にアラブ競走が廃止されました(JRA公式「JRAのあゆみ」)。地方競馬でも、2009年をもってアラブ系の競走が廃止されています(農林水産省「馬をめぐる情勢」)。
  • 2025年の生産頭数は、サラブレッドが8,233頭に対し、アラブは1頭、アングロアラブは2頭でした(JAIRS)。

軽種馬とは

JRAの競馬用語辞典は、「軽種」を次のように説明しています。

サラブレッド、アラブ、アングロアラブ(アア)など軽快で競走または乗用に適するもの。

同じ項目によると、1974年6月1日の軽種馬の品種の改訂で、軽種馬はサラブレッド、アラブ、アングロアラブ(アア)、サラブレッド系種、アラブ系種の5種となり、それまでの「準サラ」という品種はなくなりました。

軽種馬の血統登録は、公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナル(JAIRS)が行っています。JAIRSの登録規程は、第1条で軽種馬の登録をこの規程により行うと定め、第2条で登録する品種をサラブレッド、アラブ、アングロアラブ、サラブレッド系種及びアラブ系種の5種としています。それぞれの品種の中身は、第2条により「登録規程実施基準」が定めます。実施基準は、JAIRS公式サイトの「情報公開」ページに登録規程と並んで掲載されています。

登録規程の附則には、1974年6月1日から施行された改正について、それ以前に登録された馬は改正後の第2条の品種の別に従って登録したものとみなす、という経過措置が残っています。

農林水産省の資料「馬をめぐる情勢」(2024年6月)は、馬を品種別に主に重種馬、軽種馬、乗用馬、日本在来馬の4つに分けています。軽種馬の品種には同じ5品種を挙げ、主に競走用で、血統登録機関はJAIRSだと示します。一方の重種馬はブルトン種、ペルシュロン種、ベルジアン種、日本輓系種といった品種からなり、ばんえい競走や肥育、祭事などに使われます。

サラブレッドとは

JRAの競馬用語辞典によると、サラブレッドはイギリスで長い時間をかけて競走馬として作り出された品種です。名前には「純血」という意味があり、「完全に育てあげられた」ことを表すといいます。競走馬としての大まかな定義は「連続8代にわたりサラブレッドが交配された馬」で、略して「サラ」とも呼ばれます。

同じ辞典は、競馬の主流はサラブレッドだとしています。農林水産省の「馬をめぐる情勢」も、日本の軽種馬の生産品種は主にサラブレッドだと伝えています。

アラブとは

アラブについて、JRAの競馬用語辞典はアラビア半島の原産馬で、何千年にもわたって注意深く育種されてきた点から、馬の全品種の中で最も純粋で最も古いものといえる、と位置づけています。血統登録の定義にも触れており、1884年にフランスで「アラブとして血統登録する馬は、北はチグリス川、トロス山脈、および地中海でくぎられた、全アラビア半島地域に生産された馬」と定められました。

アングロアラブとは

アングロアラブ(アア)は、アラブとサラブレッドの交雑種です。JRAの競馬用語辞典によれば、両方の特質を備えた騎兵の乗馬用としてフランスで造成され、現在は世界各国で生産されています。

サラブレッド・アラブ・アングロアラブの違い

JRA競馬用語辞典の説明から、3品種の違いを並べると次のとおりです。

品種由来・成立特徴とされる点
サラブレッドイギリスで競走馬として作出「純血」の意。「連続8代にわたりサラブレッドが交配された馬」という大まかな定義
アラブアラビア半島原産何千年もの育種による、最も純粋で古い品種とされる
アングロアラブアラブとサラブレッドの交雑種(フランスで造成)両方の特質を備えた騎兵乗馬用

「準サラ」という、今はなくなった品種

現在の軽種馬にはない「準サラ」という品種が、かつて存在していました。JRAの競馬用語辞典によると、アラブ血量が25パーセント以下の馬はアラブ系種の資格がなく、準サラとされていました。

辞典が示す計算例は次のとおりです。

  • サラとアラブを交配した馬:アラブ血量50パーセント
  • その馬にサラを交配:25パーセント
  • さらにサラを交配:12.5パーセント

25パーセント以下になった馬は準サラとなり、アラブ系競走には出走できませんでした。

1974年6月1日の登録規程の改正で、準サラは「サラ系」となり、準サラという品種は廃止されました。この改正では、「サラ系(含む準サラ)」に連続8代サラブレッドを交配して生まれた馬をサラブレッドとする扱いも決まっています(JRA競馬用語辞典「準サラ」)。

ここに出てくる「サラ系」は、資料によって使い方が異なる言葉です。JRA競馬用語辞典に「サラ系」の項目はありません。JAIRSの地域別生産頭数の表では、「サラ系統」の中で「サラ」と「サラ系」が別の欄になっています。これに対し、農林水産省「馬をめぐる情勢」のグラフは、軽種馬の生産頭数を「サラ系」と「アラ系」の2つの区分で示しています。

中央競馬・地方競馬でアラブ系の競走がなくなった時期

JRA公式サイトの「JRAのあゆみ」は、1995年12月の出来事として「中央競馬のアラブ競走廃止」を挙げています。同じ12月には、阪神・淡路大震災の影響で休止していた阪神競馬場が第1回阪神競馬を開催しました。

地方競馬については、農林水産省の「馬をめぐる情勢」(2024年6月)が、中央競馬は1995年、地方競馬は2009年をもってアラブ系の競走を廃止したと記載しています。

数字で見る品種別の生産状況

JAIRSが2026年2月6日に公表した「2025年の生産頭数」によると、2025年の生産頭数は次のとおりです。

品種2025年の生産頭数
サラブレッド8,233頭
アラブ1頭
アングロアラブ2頭
合計8,236頭

合計8,236頭は10年連続の増加で、8,000頭を超えたのは2005年以来20年ぶりです。産地別では日高地区が6,475頭で全国の78.6%を占め、胆振・十勝地区を加えた北海道全体では8,038頭、全国の97.6%にあたります。

JAIRSが同じ発表で案内している地域別生産頭数の表(2025年12月31日現在)は、「サラ」「サラ系」「アラ」「アア」「アラ系」の欄に分かれています。全国の値は「サラ」8,233頭、「アラ」1頭、「アア」2頭で、「サラ系」と「アラ系」の欄はいずれも「-」です。

サラブレッド以外は、アラブ・アングロアラブを合わせても3頭です。2025年に生まれた軽種馬のほぼすべてがサラブレッドだったことが、この数字に表れています。

2026年に生まれた馬については、JAIRSが2026年9月16日に「2026年の生産頭数(速報値)」を公表しました。速報値は8,225頭で、確定値は2027年1月末に公表される予定です。地域別生産頭数(速報値、2026年8月31日現在)の表で全国の値を見ると、「サラ」が8,224頭、「アア」が1頭で、「アラ」「サラ系」「アラ系」の欄は「-」となっています。

基本用語

用語意味
軽種馬サラブレッド、アラブ、アングロアラブなど、軽快で競走または乗用に適した馬。現在は5品種(JRA競馬用語辞典、JAIRS登録規程第2条)
サラブレッド系種・アラブ系種軽種馬の5品種のうちの2つ。品種の中身はJAIRSの「登録規程実施基準」が定める(JAIRS登録規程第2条)
重種馬ブルトン種、ペルシュロン種、ベルジアン種、日本輓系種など。ばんえい競走用、肥育用、祭事などに使われる(農林水産省「馬をめぐる情勢」)
準サラアラブ血量25%以下でアラブ系種の資格がない馬を指した、かつての品種。1974年6月1日の登録規程の改正で「サラ系」となり、品種として廃止(JRA競馬用語辞典)

確認できなかったこと

地方競馬でアラブ系の競走が廃止された年(2009年)の根拠は、農林水産省「馬をめぐる情勢」の記載によるものです。地方競馬の当事者である地方競馬全国協会(NAR)自身の公式資料では確認できませんでした。

「サラ系」という語についても、統一的な定義は公式には示されていません。

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繁殖馬になるまでの手続きは、当ブログの「種牡馬・繁殖牝馬とは?2つの違いと繁殖入りまでの流れをわかりやすく解説」で詳しく紹介しています。種付けや生産に関わる頭数をJAIRSの統計で追うなら、「種牡馬になれる馬は何頭?公的データで分かる頭数と、分からない割合」が参考になります。

まとめ

  • 軽種馬は、サラブレッド、アラブ、アングロアラブ、サラブレッド系種、アラブ系種の5品種(1974年6月1日の品種改訂。JRA競馬用語辞典・JAIRS登録規程)。
  • サラブレッドはイギリスで作られた競走馬の品種、アラブはアラビア半島原産の古い品種、アングロアラブはこの2品種の交雑種(JRA競馬用語辞典)。
  • かつてあった「準サラ」という品種は、1974年の登録規程の改正で「サラ系」となり、廃止された。
  • アラブ系の競走は、中央競馬では1995年12月(JRA「JRAのあゆみ」)、地方競馬では2009年をもって廃止されている(農林水産省「馬をめぐる情勢」)。
  • 2025年の生産頭数は、サラブレッド8,233頭に対し、アラブ1頭・アングロアラブ2頭(JAIRS)。2026年の速報値は8,225頭。

制度や統計は更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

主な情報源: JRA公式サイト(競馬用語辞典の「軽種」「サラブレッド」「アラブ」「アングロアラブ(アア)」「準サラ」の項、「JRAのあゆみ」)、JAIRS公式サイト(軽種馬登録ニュース「2025年の生産頭数」「2026年の生産頭数(速報値)」、地域別生産頭数〈2025年・2026年速報値〉、登録規程〈最終改正 令和元年12月27日〉、「情報公開」ページ)、農林水産省「令和6年度馬研究会」参考資料2「馬をめぐる情勢」(令和6年6月)

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