「引退馬協会って、どんな団体なの?」「会員になったり寄付をしたりするには、いくらかかる?」と気になったことはないでしょうか。認定NPO法人 引退馬協会は、競走生活を終えた馬を1頭でも多く守り、支えることを掲げて活動する、千葉県香取市に本部を置く団体です。協会が基本事業と位置づけるのは、1頭の馬を何人もの会員で支える里親制度「フォスターペアレント」。会費や寄付の税の扱い、ボランティアの募集状況まで、協会の公式サイトと千葉県の公示情報に具体的に示されています。
要点
- 引退馬協会は、2011年2月7日に特定非営利活動法人として設立され、2013年7月17日に千葉県から認定NPO法人の認定を受けました。前身は1997年に設立された任意団体です。
- 公式サイトの「事業紹介」には、フォスターペアレント事業、引退馬ネット事業、馬と人のふれあい事業、再就職支援プログラムの4つが並んでいます。
- フォスターペアレント事業で支える馬は協会の所有馬で、「フォスターホース」と呼ばれます。2026年9月8日のお知らせで、協会は通算100頭目のフォスターホースを迎えたと発表しました。
- 個人の会員は4種類です。一般会員の会費は月額1,000円で、無料の賛同会員もあります。税制優遇の対象になるのは、協会への寄付と後援会員の会費です。
- 公式サイトのボランティアのページには「現在募集中のボランティアはございません」とあり、募集の際には知らせるとしています。
引退馬協会の概要
公式サイトの「団体概要・情報公開」ページに載っている基本情報は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 認定NPO法人 引退馬協会 |
| 代表理事 | 沼田恭子 |
| 設立 | 2011年2月7日(特定非営利活動法人として) |
| 認定取得 | 2013年7月17日(千葉県より認定NPO法人) |
| 本部所在地 | 千葉県香取市本矢作225-1 |
| 前身 | 1997年設立の任意団体「イグレット軽種馬フォスターペアレントの会」 |
千葉県が公開している認定NPO法人の公示情報によると、認定はこれまでに2回更新されていて、いまの有効期間は2023年7月17日から2028年7月16日までです。
団体概要のページが事業として挙げるのは、「馬と人のふれあい事業」「啓発事業」「引退馬ネット事業」「フォスターペアレント事業」「協賛及び後援事業」の5つと、これらから派生する事業です。
引退した競走馬がたどる主な進路や、引退馬を支える仕組みの全体像は、「引退した競走馬はどうなる?主な進路と支援の仕組みを一通り解説」でまとめています。
主な事業
公式サイトの事業紹介ページには、下の4事業のほか、馬の預託施設の情報を集めたサイト「預託施設INFO」の紹介もあります。
フォスターペアレント事業
1頭の馬を、何人ものフォスターペアレント(里親)会員が一緒に支える仕組みです。この制度で支える馬は協会の所有馬で、「フォスターホース」と呼ばれます。
有名な馬とそうでない馬では、集まる支援に差が出てしまいます。そこで協会は「分かち合いシステム」をとり、支援が多い馬に集まったお金を、支援が少ない馬にも分けて使っています。1頭あたり平均で45口程度を、安定した口数と考えているといいます。
フォスターペアレント事業のページによると、2024年1月現在の規模は次のとおりです。
- フォスターペアレント会員:約1,500人
- 繋養しているフォスターホース:49頭
2026年9月8日には、新しく迎えた馬が「通算100頭目のフォスターホース」になったと発表しました。「通算」は、これまでに受け入れた馬すべての数を指し、いまいる頭数ではありません。
「フォスターホースとは」のページには、馬ごとの会員数と口数を並べた支援状況の表(2026年10月1日現在)もあります。ただ、合計欄は馬ごとの数を足したもので、1人で何頭かを支援している会員の数え方は書かれていません。合計欄の数字を、そのまま会員の人数として読むことはできない点に注意が必要です。
引退馬ネット事業
協会が自ら支えられる馬の数には限りがあります。そこで、馬を引き取って飼う人を外から支える部門として始めたのが、この事業です。団体概要の沿革によると、開始は2005年。支援には2つの柱があります。
- 単発支援:引き取りの相談や、預託先の紹介など、一時的な支援
- 継続支援:小規模な引退馬繋養団体の設立と運営の支援(対象になる馬は「サポートホース」と呼ばれる)
これまでに設立・運営を支援した団体は、30団体(2025年4月現在)。サポートホースには、傷病の治療と整歯を対象に、1頭あたり年間10万円を限度とする医療費助成があります。
馬と人のふれあい事業
馬のもとを訪ねたり、馬を取り巻く環境を知ったりする機会をつくるため、馬をテーマにしたイベントを開く事業です。会員向けのイベントと、会員以外も参加できる一般公開のイベントの両方があります。公式ページが挙げる主な機会は次のとおりです。
- 「フォスターホースと過ごす日」:協会本部のある千葉県香取市の乗馬倶楽部で定期的に開催(「会員限定イベント」の区分に掲載)
- 北海道でのふれあいイベント:2023年から実施(同じく「会員限定イベント」の区分に掲載)
- フォスターホースが過ごす牧場を訪ねる協会主催のツアー:北海道、福島、鹿児島
- 馬について学ぶ講習会:関東
- フォスターホースの訪問・見学:全国(会員は繋養先の牧場を見学できる。見学の対象や時期に制限がある牧場もある)
「フォスターホースと過ごす日」の参加条件は、開催回ごとのお知らせに載ります。2026年11月1日開催の回を案内した2026年9月9日のお知らせでは「会員限定、事前のお申し込みが必要」とされ、参加費の欄には会員(家族会員)のほか「賛同会員・同伴非会員」の区分もありました。この回は、9月24日の追記で定員に達したと案内されています。
このほか協会は、馬に関するさまざまなイベントに参加して引退馬支援の啓発を行い、物販ブースでオリジナルグッズを売ることもあります。公式ページは、馬とふれあう前に最低限のルールとマナーを学ぶよう呼びかけています。
再就職支援プログラム
競走生活や繁殖を終えた馬が、人のそばで落ち着いて暮らしていけるように、馴致調教をするプログラムです。公式ページの図は、6か月〜1年の馴致調教を経て「卒業」し、希望者に譲渡される流れを示しています。調教の間に馬の適性を見極め、合った譲渡先とのマッチングを行います。譲渡は無償で、代金のやりとりはありません。
- 2011年に始まり、10年以上続いている
- 目的は、馬と人の基本的な信頼関係をつくることと、適性を見極めることで、本格的な乗馬調教は行わない
- 受け入れる馬は、健康でけががないことを条件に、概ね10歳程度まで(馬の状態によって個別に判断)
- 卒業した馬には、年間10万円までの傷病の治療費・整歯代と、それぞれの往診代を申請できる医療費助成がある(駆虫代や予防接種は対象外。続けるかどうかは年ごとに判断)
公式ページによると、協会は1頭も行方不明にしないという考えのもと「終生繋養をすることを前提」とし、その趣旨に賛同する人に限って馬を譲渡する方針です。よくある質問では、このプログラムで譲渡した馬を繁殖に使うことは、目的を問わず認めていないとしています。
競走馬の繁殖の仕組みについては、「種牡馬・繁殖牝馬とは?2つの違いと繁殖入りまでの流れをわかりやすく解説」が参考になります。
支援の方法
公式サイトは、支援の方法として、会員になる、寄付をする、グッズを買う、ボランティアに参加する、遺贈寄付の5つを案内しています。金額や条件は、いずれも公式サイトの記載によります。
会員になる
会員制度のご案内ページに載っている個人向けの会員は、次の4種類です。
| 種別 | 会費(公式の記載) | 補足 |
|---|---|---|
| フォスターペアレント(FP)会員 | 月額1,000円+フォスターホースの維持管理費(2,000円=0.5口より) | 正会員 |
| 一般会員 | 月額1,000円 | 正会員 |
| 後援会員 | 月額1,000円(1口)より | 会費が寄付の扱いになり、税制優遇の対象(確定申告が必要)。会員特典はなし。他の会員種別と同時に申し込める |
| 賛同会員 | 無料(会報を郵送で読む場合のみ年間購読料2,400円) | ボランティアやイベントに参加する資格あり |
一般会員とFP会員の会費は寄付の扱いにならず、税制優遇の対象外です。
入会はオンラインのほか、郵送やFAXでも申し込めます。月払いの場合、最初に2か月分をまとめて振り込みます。一般会員なら2,000円、FP会員なら会費と維持管理費の2か月分で、1口は計10,000円、0.5口は計6,000円です。
寄付をする
公式の寄付ページが案内する方法は、クレジットカード(寄付・会費決済サービス「コングラント」のページで手続き)と、協会のゆうちょ銀行の口座への振込です。ゆうちょ銀行以外の金融機関からも振り込めますが、その場合は送金後に協会への連絡が必要です。協会全体への寄付のほか、特定の活動を指定する寄付の窓口もあります。
寄付でできることの例として、公式ページは次の3つを挙げています(2023年7月現在)。
- 4,000円:削蹄代1回分
- 5万円:冬用の馬着の購入
- 10万円:蹄葉炎の馬の医療装蹄1回分
税金の扱いについて、寄付ページは、協会が千葉県知事から認定NPO法人として認定されていること、確定申告をすれば所得控除か税額控除の優遇が受けられること、控除には協会が出す「寄附金受領証明書(領収書)」が必要なことを説明しています。国税庁のタックスアンサーによると、この控除の対象は認定の有効期間内に支払った寄付で、所得控除(寄附金控除)と税額控除のどちらか有利な方を選べます。
ただし、引退馬ネットのサポートホースへの寄付は、各支援団体の会計にそのまま入るため、寄付金控除の対象になりません。控除の額は人によって違うので、詳しくは税務署や税理士などに確かめてください。
グッズを買う
フォスターホースをモチーフにしたオリジナルグッズ(カレンダー、クリアファイル、書籍、Tシャツ、ポストカードなど)は、通信販売で購入できます。販売はインターネットショップ「ホース・ファクトリー」に委託されていて、イベントなどでの一部の販売を除き、協会の直販はありません。公式ページには「収益はすべて、引退馬支援活動のため大切に使わせていただきます」とあります。
ボランティアに参加する
ボランティアの内容として、公式ページはイベント運営の補助、事務作業のサポート(送付物の封入など)、広報のサポート(イベントの撮影、リポートの作成、デザインなど)を挙げています。参加には会員登録が必要で、無料の賛同会員でも参加できます(後援会員の場合は、賛同会員としての資格が必要)。
ただし、同じページには「現在募集中のボランティアはございません」と記されています。募集の際には知らせるので、会員登録をして待ってほしいという案内です。
遺贈寄付
遺言によって遺産の一部またはすべてを協会に贈る「遺贈寄付」という方法もあります。遺贈寄付のページは、金額に決まりはなく少額でも受け付けるとし、相談先として問い合わせフォームと電話を載せています。寄付ページのよくある質問によると、遺贈で受け付けるのは現金のみです。
確認できなかったこと
フォスターペアレント会員の実人数(1人を1人として数えた数)と、いま繋養しているフォスターホースの頭数は、2024年1月現在の数字(約1,500人・49頭)より新しいものが公式サイトでは確認できませんでした。
まとめ
- 引退馬協会は、2011年に設立され、2013年に千葉県から認定NPO法人の認定を受けた団体で、本部は千葉県香取市にあります。認定の有効期間は2028年7月16日までです。
- 事業紹介に並ぶのは、フォスターペアレント、引退馬ネット、馬と人のふれあい、再就職支援プログラムの4つ。フォスターホースは、2026年9月に通算100頭目を数えました。
- 支援の方法は、会員、寄付、グッズの購入、ボランティア、遺贈寄付など。税制優遇の対象は協会への寄付と後援会員の会費です。ボランティアは現在募集がなく、募集の際に案内されます。
会費や募集の状況、数字は更新されることがあります。最新の情報は公式サイトでご確認ください。
主な情報源:
- 引退馬協会 公式サイト(https://rha.or.jp/ のトップ、団体概要・情報公開、事業紹介、フォスターペアレント事業、フォスターホースとは、2026年9月8日のお知らせ、引退馬ネット事業、馬と人のふれあい事業、2026年9月9日のお知らせ、再就職支援プログラム、会員制度のご案内、寄付、グッズ、ボランティア、遺贈寄付の各ページ)
- 千葉県「認定に関する公示情報(特定非営利活動法人引退馬協会)」 https://www.pref.chiba.lg.jp/kkbunka/npo/hojokin/nintei/2148.html
- 国税庁 タックスアンサー No.1263「認定NPO法人に寄附をしたとき」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1263.htm
最終確認日: 2026年10月

